環境基本計画/最終報告
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ここに書かれている内容は、川越市環境基本計画勉強会・検討会をとりまとめている小瀬博之による最終報告(案)です。第1案から、3月17日の勉強会・検討会(第8回)と3月20日の臨時運営会議の結果をふまえて、内容を修正しました。さらに、会員からの意見をふまえて、「(仮称)かわごえアジェンダ21の位置づけ」の内容を一部修正しました。また、「はじめに」と「おわりに」の文章を一部修正しました(2006/04/27)。
はじめに
かわごえ環境ネットでは、(仮称)川越市環境基本条例の制定に関する勉強会・検討会の終了を受け、2005年11月から2006年3月にかけて、川越市環境基本計画の見直しに関する勉強会・検討会を8回にわたり開催し、21名のメンバーで審議してきた。その結果を、「第二次川越市環境基本計画の策定に向けた行政への提言」「かわごえ環境ネットの活動推進に向けての今後の課題」「『(仮称)かわごえアジェンダ21』の策定に向けての課題」の3つの項目について以下の通りまとめた。
第二次川越市環境基本計画の策定に向けた行政への提言
協働による施策の推進にあたってのしくみづくり
- 公共における行政の対応領域を見直し、市民・事業者・民間団体との協働と役割の委譲を進めること。
- 市民・事業者・民間団体の公共サービスへの取り組みが円滑に行えるよう、例規や資金的な援助、報奨制度を整理、整備すること。
- 施策の策定前の段階から施策後の評価まで、市民・事業者・民間団体の意見を反映させるための手続き方法の確立と、条例の制定による法的な整備を行うこと。
- 川越市における環境政策の周知と意見の収集を行うため、市民・事業者・民間団体との直接対話の機会をつくること。
- 環境基本計画を平易な記述にするとともに、全市民に内容の積極的な周知を図ること。
行政機構の整備
- 環境配慮を前提とした施策を、環境部が所管する分野だけでなく、あらゆる分野においてさらに推進するため、分野横断的な施策が円滑に行えるトップダウンの組織体制を整備すること。
- 現在、行政が市民参加の主体と位置づけている、地域別である自治会及び自治会を主体とした連絡組織に加えて、かわごえ環境ネットのような専門分野別組織の活用を積極的に図ること。
「環境に配慮した行動」について
- 現行の『川越市環境基本計画』の第6章「環境に配慮した行動」は、『第二次川越市環境基本計画』においては、市民・事業者・民間団体・行政の各主体、または各主体がいっしょになって川越市の環境をよくするために取り組む行動の指針としてまとめるべきである。
- 上記を『(仮称)かわごえアジェンダ21』と位置づけ、市民・事業者・民間団体・行政の賛同を得て、川越市環境基本計画の協働による推進組織であるかわごえ環境ネットが検討のための組織を作って内容を検討したい。また、第7章「進行管理」のかわごえ環境ネットの位置づけについても、かわごえ環境ネットで検討したい。
- その際、(仮称)かわごえアジェンダ21を川越市環境基本計画に取り込むか、別冊化するか検討を行っていただきたい。
- 『(仮称)かわごえアジェンダ21』の検討にあたっては、第1章の「基本的考え方」から第5章「施策内容」までの内容との連動を図る必要があることから、行政による施策の十分な情報提供を求める。
川越市環境基本計画の進捗管理に関して検討すべき事項
- 見直しにあたって、目標値の妥当性を検証する必要がある。また、目的の達成には質的な検討も重要なことから、これの評価方法を検討する必要がある。
- 行政の施策の進行管理における、市民・事業者・民間団体との連携策を明確にすべきである。わかりやすい報告、対話による意見の収集、意見の反映についての説明責任を明確にする必要がある。
- 川越市環境基本計画の推進体制の中で位置づけられているかわごえ環境ネットの役割を明確にする必要がある。
かわごえ環境ネットの活動推進に向けての今後の課題
川越市環境基本計画を推進する組織としてのかわごえ環境ネットの立場
- 各主体の環境活動を支援するための情報整理やツールづくり、先進的な活動を行う
- 協働して行うべき重点プロジェクトを決めて、これらの企画、運営を行う
- 上記事項を達成するための広報活動を行う
- 市民・事業者・民間団体の立場から、行政の環境政策に対して計画段階からの提言と、施策の実施後の評価を行う
かわごえ環境ネットのめざすべき組織体制
- 自然環境部会、社会環境部会[(仮)都市環境部会、(仮)市民生活部会]、(仮)事業活動部会という各分野の協働によるプロジェクト活動と各主体の活動支援を行う専門分野別の推進組織
- 協働事業の企画、運営、渉外、広報活動を司る企画・広報委員会
- 上記の活動の調整を行うとともに、他団体との渉外の窓口となる決定機関としての理事会
会の持続的な活性化に向けた課題
- 広報活動の充実
- 川越市自治会連合会や川越環境保全連絡協議会などの連合組織との積極的な連携
- 活動プロジェクトの明確化と活動地区の絞り込み(すべてを全市的に取り組むのではなく、活動地区を限定したり分割したりする)
- 会員の活動への参加促進(参加しやすい企画の実行、全会員の各部会への担当割り振り)
- 新規会員の獲得(入会条件の緩和、主催事業における会員を前提とした参加費の設定、有用な情報の提供)
- 部会の充実(調査活動、情報収集、情報交換の拠点、会員の活動の場)
『(仮称)かわごえアジェンダ21』の策定に向けての課題
(仮称)かわごえアジェンダ21の位置づけ
- (仮称)かわごえアジェンダ21は、将来世代にわたり地球全体および川越市が持続的に発展していくためのビジョンを示すとともに、川越市における市民・民間団体・事業者・行政の各主体が、取り組むべき具体的プログラムを示すものである。
- 公共や行政の範囲を超えた、川越市における持続的発展計画の基本を定めるものであり、環境、福祉、教育に取り組むあらゆる主体の行動規範にもなるものである。
- 特に環境面においては、『川越市環境基本計画』の「目標年度」「対象とする環境の範囲」「望ましい環境像」「環境目標」「12の目標(施策体系)」等を同一にし、「施策内容」との連動を図るものとする。
(仮称)かわごえアジェンダ21策定の前提となる社会的背景
- 少子高齢社会における人口減少社会の到来
- 公共への市民・事業者・民間団体の積極的な参画の必要性
- 環境への配慮(自然環境の保全・資源循環・省エネルギー)を前提とした豊かな人間生活の追求
- 市民や子どもたちの環境意識や環境行動をさらに高めていく必要性
- 事業者の環境に対する取り組みのさらなる充実
川越市で問題となる環境問題
環境負荷の提言目標と現状の乖離
- 継続的なエネルギー需要の増大
- 清掃センターの更新に伴う予想される廃棄物処理の方法と最終処分量の変化
まちの活性化対策における環境配慮の欠如
- 人間による開発行為の継続による自然的な土地利用の減少と人工的な土地利用の増加
- 中心市街地におけるマンションの乱立と秩序のない景観
- 中心市街地の観光客、買物客の集中による交通問題とポイ捨てごみ問題
自然環境の破壊
- 循環型農業の衰退による雑木林など農地の自然環境の悪化や破壊
- 市内に多くある河川や水路の改修とそれに伴う環境の変化
アジェンダ実施にあたっての配慮すべき事項
- 環境への負荷の低減
- 生態系の保護・保全・創出
- 多くの人の参加
- 震災、水害などの防災対策
- 事故を未然に防ぐ防犯対策
- あらゆる人が差別なくアクセス、利用できるユニバーサルデザイン
- 法令の遵守
川越市として取り組むべき課題
環境優先型地域づくり【都市環境・自然環境】
- 人口減少社会における環境最優先のまちづくりの推進
- 土地利用、建築、交通体系の見直し
- 環境最優先の方策の検討、環境配慮型建築・まちづくりの紹介や表彰、環境マップづくり
- 人間中心の都市形成
- 歩行者優先の都市、良好な景観形成のためのルールづくり
- 土地利用、建築、交通体系の見直し
- 良好な都市環境の創造に関する行動
- 都市緑化の推進
- 屋上緑化・壁面緑化などの特殊空間緑化の推進、商店街や駅などへの樹木・草木の植栽
- 交通に関する環境負荷の低減
- 公共交通・シャトルバス・レンタサイクルなどの連携利用による脱クルマ社会に向けた交通システムの構築
- 都市緑化の推進
- 自然環境の保全に関する行動
- 自然環境の保全と再生
- 生物生息空間の確保のための調査、保全活動
- 農地の保全
- 雑木林の再生・保全に関する市民参加プログラムの充実、地産地消の推進、営農組織の育成
- 健全な水循環の確保
- 雨水地下浸透、雨水利用の推進(シミュレーション、モデル事業)、水質浄化、河川等の維持管理活動(アダプトプログラム)
- 自然環境の保全と再生
健康と持続可能性を重視するライフスタイル(LOHAS)の推進【市民生活】
- 地球温暖化防止活動の推進
- 省資源、省エネルギーによる二酸化炭素排出量の削減
- 資源使用調査、環境家計簿の推進
- 省資源、省エネルギーによる二酸化炭素排出量の削減
- 交通利用における環境配慮
- 自動車利用における配慮
- エコドライブの推進、乗り合いの推進
- 公共交通の利用促進
- バス・鉄道の利用促進、公共交通からのアクセスがよい場所でのイベントの開催
- 自動車利用における配慮
- ごみの減量と資源化
- 家庭ごみの削減
- ごみ発生の抑制、分別の徹底、生ごみの資源化と再利用先の確保
- 不法投棄・ポイ捨てごみ対策
- 学校教育、ボランティア推進(アダプトプログラム)、捨てづらい環境づくり(研究会、監視、啓発)、清掃の徹底
- 家庭ごみの削減
- 安全で健康な暮らしの維持
- 食の安全対策
- 環境に配慮した農産物の普及促進(地産地消)、食育の推進、農産物・販売店の認定制度、安全性に対する情報提供
- 排出物の環境への配慮
- 排気、排水、廃棄物における環境への負荷の低減についての調査、情報提供
- 食の安全対策
環境配慮施策や事業の推進【事業活動】
- 環境に配慮した行政施策と執行
- 市民・事業者・民間団体の公共への巻き込み
- 環境情報の積極的な開示、経済的助成によるインセンティブの付与(家庭用高効率機器購入補助制度など)、環境保全にかかる持続可能な起業への支援、民間活力の導入、
- 環境への配慮を優先した行政システムの構築
- グリーン調達、環境マネジメントの実行、環境最優先の視点での財政の検討
- 市民・事業者・民間団体の公共への巻き込み
- 環境に配慮した事業の推進
- 事業活動における環境配慮
- エコオフィス・エコストア認定の取得、環境マネジメントシステムの構築と実行(ISO14001、エコアクション21、エコアップ宣言など)
- 環境配慮製品の普及促進
- 新エネルギー機器、省エネラベル機器に関する積極的な情報提供
- 有害化学物質の環境リスク軽減
- 情報共有のためのデータ整理、リスクコミュニケーション、環境活動報告
- 市民・行政・事業者間の協働事業の推進
- 環境NPO活動への参加・支援、事業者間の意見交換および循環型産業形成
- 事業活動における環境配慮
各主体の環境活動への参加のしくみづくり【推進体制】
- 市民・民間団体・事業者・行政の各主体及び協働による行動計画の策定・実行
- 『(仮)かわごえアジェンダ21』の策定と実行
- シンクタンクとしての市民会議の組織化
- 環境情報の共有
- 川越市環境基本計画・(仮)かわごえアジェンダ21の進捗管理
- 『かわごえの環境』『(仮)かわごえアジェンダ21報告書』の作成
- 『かわごえ環境活動報告集』の編集
- ホームページの充実による情報交換の活発化
- あらゆる人が情報提供、情報交換できるブログの作成、メーリングリストの作成
- 川越市環境基本計画・(仮)かわごえアジェンダ21の進捗管理
- 環境活動の活性化
- 退職者等のまちづくりへの参画
- 高齢者、団塊の世代を活用したまちづくり制度、男女共同参画の方策の検討
- かわごえ環境ネットの活性化
- 行動計画の策定、協働事業の委託、調査の委託
- 退職者等のまちづくりへの参画
- 環境教育の推進
- 学校・生涯教育での環境教育の推進
- 環境学習の拠点づくり、教育プログラムの作成と実施、指導者への教育、イベントの実施、講師派遣、楽しく観察できる自然観察会
- 学校・生涯教育での環境教育の推進
おわりに
本報告書をもとに、かわごえ環境ネットでは、第二次川越市環境基本計画の策定(主に、(仮称)かわごえアジェンダ21の内容検討と進行管理のかわごえ環境ネットとしての立場の検討、さらに、行政が提示する施策内容についての提案)に向けての組織を早急に立ち上げる必要がある。川越市においては、本報告書の内容をふまえ、今後の(仮称)第二次川越市環境基本計画の策定に際して、今後、本会がとるべき具体的な作業とその手順についての話し合いを行うとともに、川越市長、ならびに環境政策課、政策企画課の担当者との直接の話し合いの機会の確保をお願いしたい。